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住友大阪セメント株式会社様
  • 廃棄物処理
  • 汚泥処理
  • プツマイスターポンプ
キーワードセメント原料,有機汚泥,汚泥圧送,異物対応,連続圧送

課題

arr

導入製品

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改善結果
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  • プツマイスターポンプ
キーワードセメント原料,有機汚泥,汚泥圧送,異物対応,連続圧送

住友大阪セメント株式会社様

住友大阪セメント株式会社 高知工場 工務課 浜田章郎氏、神辺隆行氏に、同社が全国四工場にてセメント原料用の有機汚泥を圧送するためのポンプとして、プツマイスターポンプを採用した経緯と効果について詳しく聞きました。

住友大阪セメント株式会社について

セメント製造大手。セメント工場は、栃木、岐阜、赤穂、高知の4ヶ所。
創業明治40年、年商2,170億円、従業員数2,769人(数字はいずれも連結)。
(※文中に記載されているお客様の役職や数値などの情報は、いずれも取材した2012年6月時点のものです。)

住友大阪セメント株式会社の「有機汚泥のセメント原料化」事業について

住友大阪セメント株式会社では、産業活動や市民生活の中で排出される各種廃棄物を、自社のセメント工場で燃料または原料として活用するというリサイクル事業に全社的に注力しています。うち「有機汚泥のセメント原料化」事業では、自治体の下水処理場から排出される有機汚泥(前処理無し)を引き受け、それをセメントの原材料として活用することで、セメント生産コストの低減と社会貢献とを同時に実現しています。

有機汚泥は、全国4工場すべてで受け入れ可能。ある工場が定期メンテナンスで休止している際は、他の工場で汚泥を引き受けるなどトータルな引き受け体制を実現しています。たとえば今回取材した高知工場では、四国全域の自治体からだけでなく、時には近畿や中部地方からも汚泥を受け入れることがあります。社会貢献と事業採算性が両立するこの環境リサイクル事業は、住友大阪セメントの次世代の事業の柱です。

住友大阪セメント株式会社の「有機汚泥のセメント原料化」事業について 「下水汚泥の
セメント原料化」
パンフレット(PDF)

全国10ラインでプツマイスターポンプを有機汚泥の圧送に活用

住友大阪セメントの「有機汚泥のセメント原料化」事業の現況を教えてください。

「有機汚泥のセメント原料化」事業は、2003年の開始以来、当初の見込みを大きく上回る反響、実績を得ています。当初、1ラインずつの予定だった各工場での汚泥圧送も、汚泥引き取り依頼が予想を超えて多かったため、ラインの増設を急遽決定。現在は、栃木3ライン、岐阜2ライン、赤穂3ライン、高知2ラインの計10ライン体制になっています。

汚泥の搬送工程は、
1.下水処理場から汚泥(前処理無し)が有蓋車に格納され輸送されてくる。
2.到着した汚泥をホッパで受け入れて貯蔵する。
3.貯蔵した汚泥をポンプを使って順次焼成炉へと圧送する、というものです。
プツマイスターポンプはこの「汚泥を焼成炉へ圧送するポンプ」として、全国4工場10ライン全てで活用しています。

高知工場で稼働中のプツマイスターポンプ
高知工場で稼働中の
プツマイスターポンプ

高知工場の有機汚泥搬送システム図

ブツマイスターポンプ活用状況の詳細

汚泥圧送ラインでのプツマイスターポンプの活用状況を具体的に教えてください。

導入したプツマイスターポンプおよび汚泥圧送の概要は次のとおりです。

項目 内容 備考
導入製品 ブツマイスターポンプ – ポンプ型式(※):KOS-1030
– オーガーフィーダー型式:THS 222 HCB
– 油圧ユニット型式:HA30C
※ダブルピストン式
導入台数 11台(内1台全国予備) 栃木工場:3台
岐阜工場:2台
赤穂工場:3台
高知工場:2台
輸送物 有機汚泥(下水汚泥) 主に自治体の下水処理場から発生する汚泥
汚泥の含水率 70%~80%
異物混入の可能性 あり 前処理無しの汚泥なので、
様々な遺物が混入している可能性がある
ブツマイスターによる
汚泥圧送量
年間約12万トン 4工場の合計処理量
ポンプから焼成炉までの
配管長さ
200メートル~
400メートル
高知工場の400メートルが最長
配管径 200A~300A 高知工場の300Aが最大

スネーク方式ではなく、ピストン方式を選んだ理由

スネーク方式ではなく、ピストン方式を選んだ理由

有機汚泥は、写真左の圧送管を通り
セメント焼成炉に配送される。

汚泥圧送ラインで活用するポンプの選定経緯を教えてください。

住友大阪セメントでは、2001年に「有機汚泥のセメント原料化」の事業化を決定しました。当時、東京本社の生産技術部にて「汚泥搬送部分で使う機器の選定」も業務の一つでした。
最初にポンプの方式として、「ピストン方式」と「スネーク方式」のどちらを選ぶべきかよく考えました。今回の搬送部分では、「低含水率で、異物混入の可能性もある、前処理無しの汚泥を、セメント焼成炉に安定的に圧送できる」ことが要件でした。
しかしスネーク方式の場合、安定圧送を実現するにはある程度の高い含水率が必要なので、今回のプロジェクトで使うにはあらかじめ汚泥に水を混ぜて含水率を高くしておく必要があります。しかし、そのような手法を取ると、

1、汚泥に水を混ぜる工程で追加コストがかかる
2、含水率を上げすぎると後工程の焼成の時に燃焼効率が悪くなる
3、スネーク方式は原理的、機構的に異物混入に弱い、

などの難点が生じます。スネーク方式は、ポンプそのものの価格が安価なのは魅力でしたが、今回の有機汚泥の圧送には不向きであると判断し、ピストン方式の各製品を比較検討することにしました。
その後、プツマイスターポンプ(ラサ商事さん)を含むピストンポンプ主要4社を相互比較いたしました。

各社のピストンポンプを比較した際の比較条件

広大な敷地にある高知工場

広大な敷地にある高知工場

大きくは、「黙って淡々と汚泥を運んでくれる、メンテいらずで力持ちのポンプ」であることを求めました。 具体的な要件は次のとおりです。

要件1:「十分な吐出力があること」

含水率70%~の汚泥を毎時3トンの搬送量にて200メートル~400メートル安定的に圧送できるパワー(吐出力)が必須でした。

要件2:「異物処理力が高いこと」

今回受け入れる汚泥は前処理なしでそのまま運ばれてくるため、内部に異物が混入することが十分にあり得ます。異物が混入する度にポンプが止まるようでは汚泥が運べないまま受け入れホッパーが満杯になり、お客様からの汚泥の安定受け入れに支障を来すこともありえます。大きくは、少々の異物が混入したとしてもそのまま押し出してくれる強力なポンプであることを求めました。

要件3:「長時間連続稼働が可能なこと(非稼働時間が短いこと)」

下水汚泥は市民生活から発生するので、その性質上年間を通じて一定量が絶え間なく発生します。住友大阪セメントとしては、その汚泥を安定的に受け入れる体制を整えておかねばなりません。
そのために重要なことは、汚泥を圧送するポンプが常に安定して稼働し続けることです。
ちなみに、この安定稼働(長時間連続稼働)の実現に必要なことは、結局のところ先ほど述べた「高い異物処理能力」です。異物が入る度に止まるのでは連続稼働になりません。逆に、少々の異物でも押し出してしまえるようなら長時間連続稼働が可能です。
したがって、この要件3は、要件2「異物処理能力が高いこと」に重なる部分が大きいといえます。

要件4:「部品の材質が堅牢であること」

ポンプへの異物の混入が頻発した場合、内部に摩耗、キズ、割れなどの損傷が発生する恐れがあります。今回は一時選定の段階から、ポンプ・メーカー各社にポンプ内部に使っている部品の材質を詳しくヒアリングし、いま述べた損傷への対策ができているかどうかをチェックしました。
実は、メーカーが品質向上に誠実に取り組んでいるかどうかの本当の姿は、こうした地味な部分への取り組みを見れば分かります(ヒアリングしてみたところ、中にはあまり良くない材料を使っている会社もありました)。

要件5:「内部機構がシンプルであること」

内部機構がシンプルな方が異物混入に強く、また修理も簡単です。

要件6:「アフターサービスがいいこと」

ポンプは、汚泥圧送部分の要として長く使う機械です。トラブルの際は、確実・迅速に対応できる保守体制があることを求めました。特に弊社のようなプラントの場合は夜間も操業しているので、24時間体制のサポートが必要でした。しかし、このアフターサービスの良し悪しは、実際につきあってみないと本当の姿は分かりません。
今回の選定では、結局のところ説明に来た担当者の「人柄」を通じて判断しました。結局、それで選ぶのが一番確実ですから。

要件7:「備え付けの自由度が高いこと」

ポンプを配置する場所の広さや条件は工場ごとに異なります。
なるべくコンパクトで設置の自由度が高い製品が望ましいと考えました。

要件8:「十分な実績を有していること」

「低含水率の汚泥を長距離圧送する」という条件での稼働実績が豊富であることを求めました。

要件9:「費用対効果が高いこと」

費用が合理的かつ競争力があることを求めました。
以上の要件を基準に各製品を比較検討したところ、ラサ商事さんのプツマイスターポンプが要件を最も良く満たしていたので導入を決めました。プツマイスターポンプは特に「異物対応力」と「機構のシンプルさ」において優れていました。

「機構のシンプルさが魅力的でした」高知工場 工務課長 浜田章郎氏

「機構のシンプルさが魅力的でした」
高知工場 工務課長 浜田章郎氏

プツマイスターポンプは「配管直径の1/3の大きさの異物でも問題なく圧送できる」という触れ込みでした。なぜ、そんなに異物対応力が高いのか、ラサ商事さんの技術者に理由を聞いたところ、「理由の一つは独自のS型揺動管構造です」と回答がありました。

 

ラサ商事よりコメント ~ プツマイスターのS型揺動管について

プツマイスターポンプKOSシリーズでは、「S型揺動管切り換え方式」を採用しているので、含水率と流動性が低いスラッジ、あるいは比較的に粒径が大きい固形物を含むスラッジでもスムーズに圧送できます。この方式では、圧送物の送り出しを邪魔するバルブがポンプホッパー内に無いので、圧送物はスムーズにホッパーを通り抜けます。また圧送物の中に、吐出口径の50%程度の大きさの異物が含まれている場合でも、問題なく圧送できます。これによりスラッジの「ほぼ連続的な圧送」が可能になります。

 

10年間使ってみての評価

今まで10年間使ってみて分かったプツマイスターポンプへの評価を教えてください。

プツマイスターポンプを「10年使ってみての評価」は次の通りです。

要件1:「異物対応力は期待通り」

配管直径の1/3の異物でも処理できるという宣伝文句は本当でした。個人的印象としては、1/3以上の大きさの異物でも処理できているように見えます。いつも着実に動き続けており、止まらないので、こちらからは「あらゆる大きさの異物を処理している」ように見えるのです。

要件2:「メンテいらずの「おとなしい機械」」

プツマイスターには、黙って働くメンテナンスいらずの「おとなしい機械」という印象があります。これまで業務を通じてさまざまな機械、設備を管理してきましたが、プツマイスターは特に「おとなしい機械」です。

要件3:「アフターサービスが良い」

プツマイスターは汚泥混入の異物で止まったことはありませんが、「人為ミスでシャベルが汚泥ホッパに入ってしまった」という場合などはさすがに停止します。そうした突発トラブルが生じた場合は直ちにラサ商事さんに連絡しますが、この10年間常に迅速対応していただけました。例えば、高知工場で夜間にトラブルが発生した場合でも、その夜に連絡すれば翌日にはラサ商事本社または大阪支店から技術者が駆けつけてくださり、その日のうちに修理を終えていただけます。大阪に近い兵庫県赤穂工場でのトラブルなら、「その夜のうちに」来ていただけます。プラントは24時間稼働が基本です。また有機汚泥は、その性質上休みなく一年中搬入されてくるので、ポンプのダウンタイムが長いとたちまち汚泥ホッパが満杯になります。そうならないようポンプのダウンタイムは極力短くする必要があります。ラサ商事さんの技術者は、そうした事情を良く理解しており、常に迅速・確実に動いてくださり、大変助かっております。

要件4:「部品在庫などの保守体制が確実」

ラサ商事さんにはプツマイスターの部品在庫が豊富にあります。このことが前述の保守対応の迅速・確実性を下支えしているようです。ラサ商事さんは名称は「商社的」ですが、技術者も優秀で、部品在庫も豊富なので、私の目から見るとメーカーと遜色ありません。。
以上、「プツマイスターへの評価」と「保守対応への評価」について述べましたが、その他「導入前の社内説明への協力」でも大きな助力をいただきました。

現場スタッフの心理的抵抗への対応

「ラサの技術者の方が、有機汚泥を手でつかんだ時は驚きました」高知工場 工務課 課長代理 神辺隆行氏
「ラサの技術者の方が、有機汚泥を
手でつかんだ時には驚きました」
高知工場 工務課 課長代理 神辺隆行氏

「導入前の社内説明への協力」とは具体的には?

2001年に事業化を決定した「有機汚泥のセメント原料化」ですが、最初の頃は受け入れ側の現場社員に、「心理的抵抗感」がありました。その抵抗感の内容は、大きくは「セメント工場では基本的に粉体を扱う。しかし今回新たに原料として使う汚泥は、含水率70%強の粘土状の物体である。その粘体を既存の生産プロセスに組み込むことへの不安」、「下水処理場から発生する有機汚泥(含むし尿)を受け入れ・扱う事への素朴な心理的抵抗」の二つです。

これら心理的抵抗を軽減するには上意下達のごり押しでは駄目で、対面で根気強く説明する必要があります。今回、各工場で開いた説明会では、ラサの技術者の方にも説明に参加していただきました。ポンプ技術者としての専門的知見を現場作業員にわかりやすく説明してくださり、現場スタッフの理解を促進するために非常に役に立ちました。

特に印象に残っているのは、プツマイスターの試運転の際にラサさんの技術者が、汚泥をひとつかみ手にして握りしめ、「これで指の間からニュルッと出てくるようなら含水率はOKです」と言っていたことです。なるほど、含水率をチェックするためにいちいち実験室に戻ってサンプル測定するような悠長な事もしていられないわけで、手で握るのは確かに有効な測定方法ですが、それにしても実際にそれをやる姿を目にしたときはさすがプロだと感銘を受けました。

現在、有機汚泥の圧送ポンプを導入している企業に向けて、「ある種の先輩ユーザー」としてのアドバイスなどあればお聞かせ下さい。

アドバイスというのは失敗した時、上手く行かなかった時にはその体験を元にいくらでも有効なアドバイスができるのですが、今回は万事上手く行っているので、すみません、特に言うことがありません。
強いて言うならば、異物混入が起こりうる(頻発する)環境であるなら、機構がシンプルなポンプを選んだ方が良いと思います。

ラサ商事への今後の期待をお聞かせ下さい。

住友大阪セメントの有機汚泥原料化事業は、おかげさまで社会貢献と採算を両立できる状態となりました。ラサ商事さんには、今後とも優れた製品と高い技術サポートを継続提供していただき、住友大阪セメントの環境事業を圧送ポンプの面でご支援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

(写真右から住友大阪セメントの浜田章郎氏、神辺隆行氏、ラサ商事の本間丈大、青井邦夫)
(写真右から住友大阪セメントの浜田章郎氏、神辺隆行氏、ラサ商事の本間丈大、青井邦夫)
(※文中に記載されているお客様の役職や数値などの情報は、いずれも取材した2012年6月時点のものです。)

住友大阪セメント株式会社の下水汚泥受入事業に関するお問い合わせ先

住友大阪セメント株式会社

住友大阪セメント株式会社 環境部
リサイクルビジネスグループ
03-5211-4633
リサイクルビジネスグループ大阪営業チーム
06-6342-7704

 

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