
スラリーとは

「スラリー」(Slurry)とは、一般的には液体(清水、海水、化学薬品等)に固形物粒子を混合、あるいは分散・懸濁させたものを指します。
業界によりスラリーの定義が多少異なる場合があり、例えば建設土木業界においては、泥漿と呼ばれるセメント原料や、セメントと水の混合物を指している事があります。ここでは、広義の意味で、液体と固形物の混合物一般を指します。
混合物の濃度や粒径により、粘性が高くなったり、また、固形物の形状によっては非常に高い摩耗性を有する為、その移送には高い技術が必要とされる分野です。
スラリーポンプとは
スラリーポンプとは、スラリーの移送に対応したポンプです。
この項で触れるスラリー(Slurry)とは、固形物粒子を液体(清水、海水、化学薬品等)と混合したり、分散・懸濁させたものの総称です。
以下にあげるような特長、機能を有したポンプを特に清水ポンプと区別しスラリーポンプと称しています。
スラリーポンプには様々な構造・種類がありますが、移送するスラリー液の性質や状態、距離等の条件により、最適なポンプは異なります。
例えば製鉄所や発電所などで使用される石炭や、発生する石炭灰などは非常に摩耗性が高く、それらの長距離移送が必要なシチュエーションでは高い耐久性が求められます。また、製品製造の現場では様々な工程がありますが、排出される廃液の処理工程においては、強酸性や強アルカリ性等の高い腐食性を有した揚液に固形物が混入するスラリーの移送が求められるシチュエーションもあり、耐腐食性が必要になります。その為、それぞれの現場に合わせたポンプの選定は必要不可欠です。
ここでは、スラリーポンプの種類や構造、用途別による選定の基準を解説します。
スラリーポンプ主要製品一覧
スラリーポンプの種類
清水ポンプと同様にスラリーポンプにも容積式と遠心式があります。容積式は主に汚泥スラッジ、脱水ケーキ等、含水率が低いものや粘度の高い液を送液する場合に使用されます。遠心式は一般的に揚液中の固形物容積濃度が20%程度以下で、比較的粘度の低い液等の送液に使用されます。
容積式には、ピストンポンプ、ダイアフラムポンプ、プランジャーポンプ、一軸偏芯ネジポンプ、ホースポンプ、ロータリーポンプ等があります。一方遠心式には、渦巻きポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプがあります。
| 遠心ポンプ | 渦巻きポンプ | ||||||||
| (ワーマン®ポンプ、ヒドロスタルポンプ、NSポンプ) | |||||||||
| 非容積式 | 斜流ポンプ | ||||||||
| (ターボポンプ) | |||||||||
| 軸流ポンプ | |||||||||
| ポンプ | ピストンポンプ | ||||||||
| (プツマイスターポンプ) | |||||||||
| 往復ポンプ | ダイヤフラムポンプ | ||||||||
| (フェルバポンプ) | |||||||||
| 容積式 | プランジャーポンプ | ||||||||
| (ウラカポンプ) | |||||||||
| 回転ポンプ | ネジポンプ、ギヤポンプ、ベーンポンプ等 | ||||||||
スラリーポンプの特長

スラリーポンプは、スラリーに含まれる固形物によってポンプの接液部品である羽根車やケーシング、ピストン、ダイアフラム等が摩耗する前提となります。その為、最適な構造と材質選定のみならず、構造上、メンテナンスのし易さや、過酷な現場でも長期の使用に耐え得る信頼性を持つように設計されている必要があります。
スラリーポンプに求められる機能
- ① 接液部の材質は耐摩耗性に優れ、また移送する液体が腐食性の場合は耐食性も有すること。
- ② 接液部の摩耗を抑える為、スラリー中の固形物をケーシングからスムーズに排出できる構造とし、
また摩耗が進行しても著しい性能低下がないこと。 - ③ 摩耗や腐食により接液部品の交換を行うとき、分解、組立、調整が容易にできる構造であること。
- ④ スラリーの密度・濃度が高い場合、これに耐える強度(ケーシング耐圧、主軸強度、軸受負荷容量)が
あること。 - ⑤ スラリーに異物が混ざっていても、吸入・吐出に支障が出ない無閉塞性に優れた機構と、
十分な口径を有していること。
ラサ商事の取り扱う様々なスラリーポンプ

弊社では、以下のようなポンプを幅広く取り扱っており、お客様のご使用条件に合った最適なポンプをご提案致します。
- ① 遠心式スラリーポンプ(ワーマン®ポンプ、
ヒドロスタルポンプ、NSポンプ等) - ② 容積式ポンプ(プツマイスターポンプ、
フェルバポンプ等)
スラリーポンプの選定は、流量・揚程などの仕様に加えて、スラリー濃度やスラリーに含まれる固形物の大きさ(粒径)と形状、さらに粘度、温度、腐食性、摩耗性など、様々な要素を総合的に判断して行う必要があります。特にスラリーポンプの接液部に使用する材質の選定は重要です。移送物に応じてポンプの摩耗が想定される場合には、耐摩耗性に優れた材質(特殊金属)を選定する必要があります。また、同様に腐食性の強い移送物においては、接液部やパッキンなどの材質を各種ゴム材質や樹脂系素材などを選定する必要があります。弊社では長年の経験と実績から様々な産業用に向けて最適な材質・構造のスラリーポンプをご提案することができます。
ラサ商事では様々なメーカーのスラリーポンプ製品を取り扱っています。
各スラリーポンプ製品のメーカーについて知りたいお客様はこちらよりお気軽にお問い合わせください。
小型ポンプや食品用ポンプなど用途に合わせた様々なスラリーポンプ製品を取り扱っています。
よくあるご質問
- スラリーポンプとは具体的にどのようなポンプですか?
スラリーポンプとは、固体粒子を含む液体(=スラリー)を移送するために設計されたポンプの総称です。一般的なポンプが水を扱うのに対し、スラリーポンプは硬い粒子や研磨性の高い粒子による摩耗に耐えられるように、より頑丈な構造と耐摩耗性の高い素材で作られています。
- スラリーとは具体的に何を指しますか?
スラリーは、水などの液体に、土砂、鉱石、石炭灰、セメント、泥水などの固形粒子が混ざって流動性を持った混合物のことを指します。スラリーは、その粒子の大きさ、硬さ、濃度によって性質が大きく異なり、これがポンプの選定や運転に影響を与えます。
- スラリーポンプは、一般的な水ポンプと何が違いますか?
最も大きな違いは、耐摩耗性と構造です。水ポンプは主に水の移送を目的としているため、摩耗への対策は施されていません。一方、スラリーポンプは、固形物による摩耗や衝撃に耐えるために、インペラーやケーシング、ライナーといった部品が厚く、特殊な耐摩耗性材料で作られています。また、固形物が詰まりにくいように、流路も広くとられています。
- どのような種類のスラリーポンプがありますか?
スラリーポンプは、遠心式、容積式や据付方式、用途に応じていくつかのタイプに分かれます。水平型ポンプ・垂直型ポンプ(立型ポンプ)・水中型ポンプなどがあります。ラサ商事のスラリーポンプにつきましてはこちらをご覧ください。
- スラリーポンプはどのような産業で使われますか?
スラリーポンプは、鉱業(鉱石スラリーの輸送)、発電所(石灰石、石炭灰の輸送)建設業(トンネル工事での泥水処理)、化学・材料工業(正極・負極材等、電池材料の移送)、土木工事(浚渫工事)、など、固形物を含む流体を扱う様々な産業で幅広く使用されています。
- スラリー移送に適したポンプの構造は?
固体粒子を含む液体を送る為、通過粒径が十分に確保されたインペラーや摩耗による性能低下が少ない構造を持つポンプが必要です。また、内部部品の交換で性能復帰が容易な交換式ライナー構造のポンプが適しています。
- スラリーポンプを選定する際に最も重要な要素は何ですか?
最も重要なのは、扱うスラリーの性状と要求される仕様条件を正確に把握することです。具体的には、①固形分濃度②粒子サイズと硬度③スラリーの比重④流量、揚程、吸込条件です。
- スラリーの固形分濃度は、ポンプ性能にどう影響しますか?
固形分濃度が高いほど密度、摩擦損失が増加し必要な揚程が増大します。これにより流量を維持するためにはより大きな動力が必要になります。また濃度が高いほど粒子が沈みやすく、配管内での固形物の堆積や詰まりの原因にもなります。
- スラリーの粒子サイズは、ポンプ選定にどう影響しますか?
粒子サイズはポンプ選定において摩耗・詰まり・性能・必要流速・軸封/材質選定に直結します。粒子が大きいほど衝突エネルギーが大きく、インペラー、ケーシングの摩耗が増大します。また、ポンプが詰まらないように、ポンプの流路やインペラのよりも大きな粒子が混入しないように注意が必要です。
- スラリーポンプの効率を上げるにはどうすればいいですか?
適切な能力のポンプを選定することが最も重要です。効率を上げるには①ポンプの最高効率点付近で運転する②クリアランス最適化と漏れ損失低減③インペラー、ライナーの材質最適化が大切です。
- スラリーポンプの摩耗はなぜ発生しますか?
スラリー中の固形粒子がポンプ内部のインペラーやライナーに影響を与える事で摩耗が発生します。主な要因は粒子の衝突による浸食、液性による腐食、吸込不良で気泡が発生するキャビテーションなどに大別されるのとそれらの複合要因などです。
- 摩耗を最小限に抑えるにはどうすればいいですか?
①ポンプを最高効率点付近で運転し内部再循環を抑える②大径・低回転のポンプを選定し流速を下げる③吸込条件の最適化とキャビテーションの防止などで摩耗を抑制することが可能です。
- スラリーポンプの主要な消耗部品は何ですか?
回転するインペラーや接液するケーシング、ライナーが主な消耗部品です。液漏れを防ぐ軸封部のパッキンやシール類も適宜交換が必要です。
- キャビテーションとは何ですか?スラリーポンプではどのようにして防げますか?
キャビテーションとは、液体の圧力が局所的に蒸気圧以下まで下がることで微小な蒸気泡(キャビティ)が発生し、その後高圧域で急速崩壊して衝撃を生む現象です。防ぐためには吸込条件の改善・適切な回転数での運転・NPSHの確認などがあります。
- スラリーポンプが正常に吐出しない場合、どのような原因が考えられますか?
吸込配管の詰まりやケーシング内部の詰まり・摩耗による性能低下、空気の混入、キャビテーションの発生などが挙げられます。
- 異常な振動や騒音が発生する原因は何ですか?
スラリー濃度の上昇による吸込・吐出不良、キャビテーションやインペラーの過負荷の発生などが挙げられます。
ラサ商事のワーマン®ポンプ

- 接液部品の材質選定により、あらゆる液体及びスラリー移送が可能です。
- ポンプ構造が簡単で、分解・組立などのメンテナンスが大幅に省力化できるため、整備に手間がかかりません。
- 羽根車・ライナー等は耐摩耗性に優れています。
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ワーマン®ポンプ関連製品
- ケミカルスラリーポンプ
- 耐摩性スラリーポンプ
- 自吸式スラリーポンプ














































