ヒドロスタルポンプの機構・構造
【羽根車(スクリューインペラー)】
ヒドロスタルポンプの最大の特徴は、その独特の羽根車(スクリューインペラー)です。
スクリュー形状をした羽根車は、容積ポンプと遠心ポンプの2つの機能を有しています。容積ポンプ作用部ではアルキメデススクリューと同様の働きをするため、強力な吸引力を有し、遠心ポンプ作用部では、揚液に遠心力を与える事で、圧力エネルギーへと変換し送液を行います。
特徴的な羽根車(スクリューインペラー)は、以下に説明するとおりヒドロスタルポンプに様々な利点をもたらしています。
1.高いポンプ効率
スクリューインペラー吸込部の容積ポンプ作用部がインディーサーの機能を発揮し、ノンクロッグ性を確保しつつ高い効率を維持しております。仕様点によっては従来のノンクロッグポンプより2ランク下のモータを選定する事が出来ますので、大幅な使用電力の削減が図れます。
2.安全な動力特性
ヒドロスタルポンプの動力特性はリミットロード特性を有しており、液面の変動等により吐出し量が増加した場合においても、従来の遠心ポンプの様にオーバーロードの心配が無く、モーターに大きな余裕を持つ必要が有りません。
3.容易な流量コントロール
ヒドロスタルポンプの揚程特性は、従来の遠心式ポンプの揚程曲線と比較して急峻な右下がりの曲線を示します。このため、揚程変化に対する吐出し量の変動を最小限に抑える事ができます。また回転速度を制御する事による、吐出し量の制御にも向いています。
4.無閉塞性
ヒドロスタルポンプは、異物、固形物、長繊維や高濃度原料等が詰まらないように、1枚羽根で最大限の流路幅を確保した特殊設計の無閉塞型インペラーを有しているため、遠心式ノンクロッグポンプの中では最良のノンクロッグ特性を持っています。
5.非破壊流送
従来の遠心式ポンプでは、羽根車に対して垂直に流入した流送物が半径方向へと急激に方向転換されるため、流体による外力や羽根車との接触を避ける事が出来ません。一方ヒドロスタルポンプの羽根車(スクリューインペラー)は、ケーシング内で緩やかに流れの方向を変化させているため、流送物(粒子、長繊維や固形物)に大きな負荷がかかりにくくなります。さらに1枚羽根で流路幅も大きく設計されているので、羽根車への衝突による流送物の破壊・損傷が起こりにくくなっています。この構造設計により、従来の遠心式ポンプには無い非破壊性が実現できます。
① ポンプ内部の流れがスムーズ
ポンプ内部で緩やかに流れが変り排出され
更にサクションカバーと流送物が接触しない
② スクリュー羽根車
最大通過粒径が大きい(ポンプ口径の50%以上)
標準的な遠心ポンプは流送物が羽根車入口に激突し急激に流れが変る
【軸封部】
ヒドロスタルポンプは用途に応じて、様々な軸封装置を選択することが出来ます。
標準仕様としては、
- ① 無注水カートリッジメカニカルシール
- ② 無注水ダブルメカニカルシール(封油型)
- ③ グランドパッキン
その他、用途に応じて様々なメカニカルシールの使用をご提案することも可能です。
【軸受部】
ヒドロスタルポンプの軸受構造はオイルバス方式を採用しています。
メンテナンス時は吸込側・吐出側の配管を取り外すこと無く、羽根車ごとケーシングから分解出来る「バックプルアウト方式」を採用しているため、メンテナンスが容易です。
【接液部材質】
主要接液部品材質は、ねずみ鋳鉄の他、耐摩耗用途向けの高クロム鋳鉄、耐腐食用途向けのステンレス鋼を準備しており、各種の溶液に対応可能です。
ステンレス鋼製の接液部品については、バフ研磨対応も可能です。
部 品 名 | 材 質 |
---|---|
羽 根 車 | FCD450,HiCrFC,SCS13,SCS14 |
ケーシング | FC250,HiCrFC,SCS13,SCS14 |
サクションカバー | |
メカボックス,パッキン箱 | |
メカシールボックス | |
軸スリーブ | SUS304,SUS316 |
主 軸 | SUS420J2,SUS304,SUS316 |
※上記材質の他、HC,2相ステンレス等の材質を選択できる機種も御座います。
ラサ商事の取り扱うヒドロスタルポンプ
ラサ商事のワーマン®ポンプ
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